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2019年05月02日

夜間立哨 鉄条網を守れ

19時過ぎ、歩哨を下番したMG手に起こされ、私は目を覚ましました。いよいよ2時間スパンの夜間立哨です。
暗闇と靄で視界がほとんどない中、木の陰に立哨します。雨音、木の葉が落ちる音以外は静寂のまま、時間が流れます。
何らかの物体が近づいてきて、ある程度の距離で人間だと認識できたので合言葉を投げると味方の兵だと確認できました。「時間がわからないので、立哨下番の時に自分にも声をかけてほしい」と、その男は私に依頼しました。
視界ゼロで、その時は誰だかわからなかったのですが、後で副分隊長だと判明しました。

20時半を経過したころだったか、21時を過ぎていたのか記憶が曖昧ですが、味方が敵兵を誰何する声に続いて、槓桿を引く音、そして発砲音が響き渡りました。
その瞬間、私は、雨が止み前方が明るくなった気がしたのです。実際には雨が止んだわけでも明かりがついたわけでもなかったんですが、極度に意識が集中したため、そう感じたようです。

再び副分隊長が私の元にやってきて、鉄条網の警戒を密にするように告げました。私は、鉄条網に張り付き、視界が悪いので、音や気配で敵の動向を察知するよう、意識を集中しました。

稜線の向こうのA地区方向からも、敵兵を誰何する声が聞こえました。

私の前の鉄条網に、敵が取り付くことは確認できなかったのですが、その向こう側に何度か人の気配を感じました。しかし視界の悪さもあって目視では確認できておらず、その気配は、この付近にいる副分隊長かもしれないし、雨が落ち葉に当たる音かもしれないと思っていました。また、闇雲に誰何して自分の位置を露呈すれば、殺害または拉致される恐れがあるから、敵が鉄条網に確実に取り付いたら対処しよう、もしくは、鉄条網の切断が確認できたら修復し分隊長に報告しようと考えました。
苦労して敷設した鉄条網は、まるで手塩にかけて育てた我が子のようなものだ、私が守り抜かねばならぬという使命感で、監視に集中しました。
折を見て、何度か鉄条網を点検したのですが、私が見た範囲では切断などの敵の痕跡は確認できませんでした。

副分隊長が三たび私の前に姿を見せました。
「先程、敵兵2名とすれ違った。後方から来たので、味方の交代要員かと思って合言葉を投げたところ、向こうも誰何してきた。突然のことで、そのまま行き違った」とのこと。
とりあえず鉄条網に異常がないことを報告し、21時になれば知らせるから、まず副分隊長が戻り、交代要員が来ることを見計らって、10分程度の時間差で私も戻ると告げました。
「あそこの木の根元にいる」と彼は告げて、私の前から去りました。
敵の斥候が、付近を徘徊しているのは明らかです。しかし鉄条網には手をつけず、彼らは何を目的にしているのか疑問でした(単に道に迷っただけと、後で判明しました)。







Posted by BCoガイドジャーナル at 14:17│Comments(0)
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